企業インタビュー(三菱商事)
平成28年8月21日
第3回 鈴木康倫氏 Al Masat Al-Thalath Trading Company(クウェート三菱商事(株))社長

(ECA) 実はこのシリーズでルーキー・イヤー(赴任一年以内)の方にご登場頂くのは今回が初めてです。鈴木社長には是非着任したばかりの目から見て、又は肌で感じたクウェートについてご紹介いただきたいと思っています。先ずはクウェートという異国の地に駐在が決まった時の率直な感想からお願いします。
(鈴木社長) 確かにクウェートではルーキーですが、30代でシンガポールに5年、40代でジャカルタに5年それぞれ駐在していた経験がありますし、1986年に三菱商事に入社して以来、一貫してエネルギー関連業務に従事してきましたので、自分にとってクウェートが特別遠い存在だったわけではありません。また、LPG関連、石油開発関連、再生可能エネルギー関連を主に担当してきましたので、クウェート駐在が決まった時に特別な違和感はありませんでした。
(ECA) 一方でクェート三菱商事には長い歴史があり、クウェート建国よりかなり前から進出されています。鈴木社長は最近この長い歴史を引き継がれたわけですが、その歴史の一部を差し支えない範囲でご紹介いただけますでしょうか。
(鈴木社長) 三菱商事は、クウェート建国より10年遡る1951年にクウェート駐在員事務所を開設しました。その後、1977年に、より幅広く活動できるよう現地資本とジョイントベンチャー形式でAl-Masat Al-Thalath Trading Company(Mitsubishi)K.S.Cという社名の現地法人を設立し、現在に至っています。(「Al-Masat Al-Thalath」はアラビア語の「スリーダイヤモンド」という意味。)
事業の中身としましては、言わずもがなクウェートは日本経済を支える原油、石油製品の供給拠点として非常に重要な国ですので、当社も国営石油会社等と長期にわたって良好な関係を維持しながらクウェート産原油の日本への安定供給に努めてきました。また、そうした関係を梃子に、製油所・発電所建設、資材供給など当国成長の基礎となったインフラ整備に、長年に亘って貢献をしてきたとの自負を持っています。現在では、そのような分野に加え、石油化学製品取引、タイヤ・エアコンなどの生活資材の販売などにも取引分野を拡大させています。
(ECA) 既に幅広く事業をされているとのことですが、今後、新たにチャレンジしていく分野はありますか。
(鈴木社長) 確かにクウェートではルーキーですが、30代でシンガポールに5年、40代でジャカルタに5年それぞれ駐在していた経験がありますし、1986年に三菱商事に入社して以来、一貫してエネルギー関連業務に従事してきましたので、自分にとってクウェートが特別遠い存在だったわけではありません。また、LPG関連、石油開発関連、再生可能エネルギー関連を主に担当してきましたので、クウェート駐在が決まった時に特別な違和感はありませんでした。
(ECA) 一方でクェート三菱商事には長い歴史があり、クウェート建国よりかなり前から進出されています。鈴木社長は最近この長い歴史を引き継がれたわけですが、その歴史の一部を差し支えない範囲でご紹介いただけますでしょうか。
(鈴木社長) 三菱商事は、クウェート建国より10年遡る1951年にクウェート駐在員事務所を開設しました。その後、1977年に、より幅広く活動できるよう現地資本とジョイントベンチャー形式でAl-Masat Al-Thalath Trading Company(Mitsubishi)K.S.Cという社名の現地法人を設立し、現在に至っています。(「Al-Masat Al-Thalath」はアラビア語の「スリーダイヤモンド」という意味。)
事業の中身としましては、言わずもがなクウェートは日本経済を支える原油、石油製品の供給拠点として非常に重要な国ですので、当社も国営石油会社等と長期にわたって良好な関係を維持しながらクウェート産原油の日本への安定供給に努めてきました。また、そうした関係を梃子に、製油所・発電所建設、資材供給など当国成長の基礎となったインフラ整備に、長年に亘って貢献をしてきたとの自負を持っています。現在では、そのような分野に加え、石油化学製品取引、タイヤ・エアコンなどの生活資材の販売などにも取引分野を拡大させています。
(ECA) 既に幅広く事業をされているとのことですが、今後、新たにチャレンジしていく分野はありますか。

(鈴木社長) クウェートでも他の中東産油国同様に、電力、水、メトロなどのインフラ整備、都市開発などの大型プロジェクトが目白押しです。一方で、そうした分野は韓国勢の台頭などで日本勢は押され気味というのが最近の状況ですので、こうした状況をなんとか打破すべく、精力的に活動していきたいと考えています。また、当国は非常に富裕層の多い国でもあります。日本の先端医療技術の導入、健康食品、高機能生活用品などの潜在需要も大きいものと思いますので、そうした分野での市場開拓にも取り組んでいます。なお、当社は、クウェート国内での取引や他企業の代理店業務も可能な当国法人ですので、そのステータスを十分に活用しながら幅広くビジネス機会の発掘に努めています。
(ECA) 鈴木社長ご自身は、これまでにシンガポールやインドネシアなど海外経験が豊富ですが、今回中東のクウェートに赴任されて、当国特異と感じるビジネス慣習などを感じた事がありましたら教えてください。
(鈴木社長) 当国に赴任してまだ3ヶ月ではありますが、それほど問題となるような特異な慣習には遭遇していません。アラブ人との仕事でよく聞く「アラブ世界のIBM=I:インシュ アッラー(アッラー(神)がお望みならば)、B:ボクラ(明日)、M:マーレシュ(気にするな)」も感じたことがありませんし、私がビジネスで会う人達の接し方を見ても、契約の概念がしっかりしており、世界的に見て特殊なビジネス環境では無いと思います。ただし、一人の判断で決めることが出来ずに多くのプロセスを踏む事が必要な「中途半端に民主的」であるがために手続きに時間がかかったり、制度やルールの運用が硬直的だったりするために、入札等の業務プロセスが遅れたり若しくはやり直しになったりする事があるようです。
(ECA) そうしますと、他の国との比較になってしまうかも知れませんが、様々な問題は耳に入るものの総じてクウェートのビジネス環境は悪くないということでしょうか。クウェート人の方との個別のビジネスシーンでは、特に理解しあえないなどの問題は無いですか?
(鈴木社長) 日本人である自分がビジネスシーンで会うクウェート人は、総じて穏やかで普通に会話が出来る人達だという印象です。その一方、クウェートの社会は総人口の3分の2が外国人ですが、その多くはインド、エジプト、トルコ出身で、民間企業の事務職として働く人に加え建設現場にも大多数の労働者がいます。主に官公庁や国営会社で働くクウェート人が、そのような外国人労働者に「上から目線」で接しているというのは感じますね。
(ECA) 私もクウェート人は日本人には穏やかで優しく接してくれるという印象です。ですので、なるべくプライベートなシーンでも日本人であることをアピールしています。そこで最後の質問は、プライベートを含むクウェートライフについてです。着任してまだ間もないところではありますが、気づきの点がありましたらコメントをお願いします。
(鈴木社長) 少し不満な点から言えば、娯楽に乏しくお酒と豚肉が入手できません。また、5月から10月の夏期には40度を超える酷暑により、屋外活動が制限されてしまいます。ただし、お酒と豚肉以外の食材は概ねありますし、特別なこだわりがなければ日用品も大体のものは手に入ります。治安面では、交通事故のリスク以外は脅威に感じることはありません。こちらは荒い運転の人が多く、交通事故の発生率が高いので、職員やドライバーには運転の際気をつけるようにと常々言いきかせています。また、交通事故以外の脅威は感じないとはいえ、世界的にはテロの脅威が高まっていますので、外出時には狙われやすい場所には近づかない、長居しないように注意しています。
(ECA) 鈴木社長ご自身は、これまでにシンガポールやインドネシアなど海外経験が豊富ですが、今回中東のクウェートに赴任されて、当国特異と感じるビジネス慣習などを感じた事がありましたら教えてください。
(鈴木社長) 当国に赴任してまだ3ヶ月ではありますが、それほど問題となるような特異な慣習には遭遇していません。アラブ人との仕事でよく聞く「アラブ世界のIBM=I:インシュ アッラー(アッラー(神)がお望みならば)、B:ボクラ(明日)、M:マーレシュ(気にするな)」も感じたことがありませんし、私がビジネスで会う人達の接し方を見ても、契約の概念がしっかりしており、世界的に見て特殊なビジネス環境では無いと思います。ただし、一人の判断で決めることが出来ずに多くのプロセスを踏む事が必要な「中途半端に民主的」であるがために手続きに時間がかかったり、制度やルールの運用が硬直的だったりするために、入札等の業務プロセスが遅れたり若しくはやり直しになったりする事があるようです。
(ECA) そうしますと、他の国との比較になってしまうかも知れませんが、様々な問題は耳に入るものの総じてクウェートのビジネス環境は悪くないということでしょうか。クウェート人の方との個別のビジネスシーンでは、特に理解しあえないなどの問題は無いですか?
(鈴木社長) 日本人である自分がビジネスシーンで会うクウェート人は、総じて穏やかで普通に会話が出来る人達だという印象です。その一方、クウェートの社会は総人口の3分の2が外国人ですが、その多くはインド、エジプト、トルコ出身で、民間企業の事務職として働く人に加え建設現場にも大多数の労働者がいます。主に官公庁や国営会社で働くクウェート人が、そのような外国人労働者に「上から目線」で接しているというのは感じますね。
(ECA) 私もクウェート人は日本人には穏やかで優しく接してくれるという印象です。ですので、なるべくプライベートなシーンでも日本人であることをアピールしています。そこで最後の質問は、プライベートを含むクウェートライフについてです。着任してまだ間もないところではありますが、気づきの点がありましたらコメントをお願いします。
(鈴木社長) 少し不満な点から言えば、娯楽に乏しくお酒と豚肉が入手できません。また、5月から10月の夏期には40度を超える酷暑により、屋外活動が制限されてしまいます。ただし、お酒と豚肉以外の食材は概ねありますし、特別なこだわりがなければ日用品も大体のものは手に入ります。治安面では、交通事故のリスク以外は脅威に感じることはありません。こちらは荒い運転の人が多く、交通事故の発生率が高いので、職員やドライバーには運転の際気をつけるようにと常々言いきかせています。また、交通事故以外の脅威は感じないとはいえ、世界的にはテロの脅威が高まっていますので、外出時には狙われやすい場所には近づかない、長居しないように注意しています。

(ECA) 酷暑の中で娯楽が乏しいというのはハードシップが高いと感じられているということでしょうか。
(鈴木社長) ハードシップが高いかどうかは何とも言えません。先日実際に50度超を体験しました。ただし、車での移動が殆どで外を歩くことがないこと、湿度が低く夜間は温度が下がることなどから、耐えられないほどではありませんし、ゴルフは毎週しています。また、クウェート人の多くは、日本や日本食を含む日本文化に対する興味、関心が強いようで、実はプライベートで文化交流を行うようになりました。私は幼少期より剣道をしてきましたので、クウェートにも防具を持参し、こちらの剣道クラブで稽古を始めました。現地人の稽古相手たちも技量的にはまだまだですが、皆熱心に稽古をしています。クウェートには、剣道以外にも、居合、空手などのクラスもあり、盛んに練習が行われているようです。
(ECA) 何だか私生活は楽しそうですね。今日はどうもありがとうございました。
(鈴木社長) ハードシップが高いかどうかは何とも言えません。先日実際に50度超を体験しました。ただし、車での移動が殆どで外を歩くことがないこと、湿度が低く夜間は温度が下がることなどから、耐えられないほどではありませんし、ゴルフは毎週しています。また、クウェート人の多くは、日本や日本食を含む日本文化に対する興味、関心が強いようで、実はプライベートで文化交流を行うようになりました。私は幼少期より剣道をしてきましたので、クウェートにも防具を持参し、こちらの剣道クラブで稽古を始めました。現地人の稽古相手たちも技量的にはまだまだですが、皆熱心に稽古をしています。クウェートには、剣道以外にも、居合、空手などのクラスもあり、盛んに練習が行われているようです。
(ECA) 何だか私生活は楽しそうですね。今日はどうもありがとうございました。